2012年6月3日日曜日

大恐慌にあえぐ帝国主義打倒しよう 革共同中央学生組織委員会 - Weekly Zenshin


週刊『前進』06頁(2523号5面1)(2012/02/13)

大恐慌にあえぐ帝国主義打倒しよう
 新自由主義は全面破産した! 3・11大結集で革命の未来開け
 革共同中央学生組織委員会

 はじめに

 「国鉄決戦と反原発・反失業でプロレタリア革命を切り開け」、本紙新年号のスローガンのもとに2012年決戦を爆発させよう。世界大恐慌の深化の中、「生き抜くこと」は革命の欲求そのものだ。日本でも3・11情勢下での「挙国一致」イデオロギーをうち破り、国鉄、福島・沖縄、そして青年・学生から闘いが巻き起こっている。
 1929年大恐慌をこえる未曽有の大恐慌が始まっている。これは、資本主義・帝国主義が歴史的に積み上げてきた全矛盾の爆発であり、とりわけ80年代以降の新自由主義攻撃の破産の結果だ。ブルジョアジーに「解決」の力はない。あるのはただ、「戦争と大失業」を激化させ、労働者人民をこれまで以上に搾取して社会を破壊することだけだ。
 この大恐慌にいかに立ち向かい、未来を切り開くべきか。それは、「資本主義は終わった! 労働者が社会の主人公になる時だ!」ときっぱり言いきり、階級的労働運動の復権とプロレタリア革命に向かっての組織をつくり出すことだ。
 現代史の出発点である1917年ロシア革命で、プロレタリアートは帝政とブルジョアジーを打倒し労働者国家をうち立てた。資本主義は終わりのある体制で世界革命は実現可能であり、労働者は国家権力を握って社会を再組織する力を持っていることを証明した。ここから世界史は「資本主義から社会主義・共産主義への過渡期」に突入し、それは今も現代世界を規定している。しかし、29年大恐慌に端を発する30年代の世界的な革命情勢は、スターリン主義の裏切りによって血の海に沈められた。この敗北を繰り返してはならない。20世紀からの100年越しの課題をのりこえる時は今だ。
 支配階級はこの「革命の現実性」をリアルに感じているからこそ、この一世紀ひたすら労働者の団結を破壊し、革命の芽をつぶすことに全精力を注いできた。その頂点が新自由主義攻撃だった。しかし新自由主義が大破産した今、全世界の労働者人民が確信をもって闘いに立ち上がっている。今こそ資本主義にとどめを刺そう。「原発いらない! 3・11福島県民大集会」(郡山市)に総結集し、2012年の大飛躍へ突き進もう。

 「国家破産」の時代が到来

 07年パリバ・ショック、08年リーマン・ショック以来の世界大恐慌は、本格的爆発過程に入っている。
 一つに、「国債暴落」と「国家破産」の時代が到来した。「国家の信用」はゼロ化している。二つに、米ドル体制の崩壊、世界経済の分裂、経済収縮が一体で起きている。とりわけ、戦後世界体制の基軸としての「ドル本位制」の崩壊は、帝国主義世界支配を最後的な大混乱にたたき込む。三つに、労働者階級にとって大恐慌とは「戦争と大失業」であり徹底的に非和解だ。大恐慌へのわれわれの回答は、ただ一つ革命しかない。
 以下、世界の大恐慌の現状を確認しよう。


発熱1793本

 ユーロ崩壊に直面するEU

 「EU解体−ユーロ崩壊」情勢は激しく進んでいる。EUは09年のGDPが16兆4500億㌦でアメリカの1・15倍、人口4億9800万人で同1・56倍であり、この巨大な経済圏が崩壊にひんしている。
 「ギリシャ・デフォルト問題」は深刻化している。3月20日、145億
ユーロ(1兆4500億円)の国債償還期限を迎えるが、財政破綻のギリシャ政府に返済能力はない(国債が借り換え不可能)。ギリシャ国債を保有する民間金融機関が債務の70%(約1300億㌦超)を削減し、ギリシャ政府はEUからの第2次支援(約13兆円)の受け取りで危機をのりきろうとしているが、メドが立っていない。この債務削減規模は戦後最大であり、05年のアルゼンチン政府の約350億㌦、00年のロシア政府の約200億㌦と比べてもその巨大さが分かる。しかも、今回の債務削減を実施しても国家債務残高は高止まりのままだ。
 第2次支援や債務削減の代わりに、EU支配階級は「ギリシャが間違った方向に進むなら、次の支援はない。3月に『破産(デフォルト)』が宣告される」(ユーロ圏財務相会合議長ユンカー)と恫喝し、殺人的な財政削減策を押しつけようとしている。今年の歳出削減額は30億ユーロ(3000億円)で、そのために最低賃金と休日手当引き下げ、年金支給の減額、2割削減済みの公務員給与のさらなる2割カット、そして今年中に公務員を1万5千人削減しようとしている。「なぜ支配階級の借金のツケを払わなければならないのか!」とのギリシャ労働者人民の怒りが爆発し、7日には全土で24時間ゼネストがうち抜かれた。
 さらに国債危機はイタリアやスペイン、ポルトガル(1月31日に国債金利が19%台でユーロ発足後最高水準に)、東欧、ついにフランス(1月13日に最高格付けから引き下げ)にまで波及し、そのすべてで公務員首切りと民営化・非正規職化攻撃が激化している。
 この事態を解決する力は、EUはもちろん、米・IMF、G20にもない。昨年12月にはECB(欧州中央銀行)が3年で約50兆円規模の緊急資金供給を行ったが、一時しのぎにすぎない。今年7月に設立される欧州安定メカニズム(ESM)の支援可能上限は計50兆円であり、スペイン(GDP規模はギリシャの5倍)やイタリア(同7倍)の危機が本格的に爆発すれば対応不可能だ。


"海の発熱"分析

 金融緩和策で米帝危機深化

 1月25日、FOMC(米連邦公開市場委員会)は「2013年半ばまで」としていたゼロ金利政策を「14年末まで続ける」ことを表明した。向こう3年間、米経済は低迷し続けることを米帝自身が認めたのだ。
 「株価回復」と言われるものの実態は、中央銀行による資金供給策で一時的に支えられた時間稼ぎにすぎない。昨秋以降の中央銀行による資金供給で、日米欧の中央銀行の総資産は昨年末で約8兆9000億㌦、1年間で約25%も膨張している。いくら「ダウ平均株価がリーマン後最高」などと叫んでも、米国内の非製造業雇用者数は08年当時比で500万人以上も下回っている。
 米帝は結局、QE3(第3次量的緩和)にのめり込み、市場へカネをばらまくしかない。10〜11年のQE2(約47兆円の米国債を購入)は、インフレと世界的革命情勢を引き起こしたが、QE3政策は間違いなくドル暴落、為替戦争と争闘戦の激化、巨大な人民反乱の引き金となる。
 米財政赤字は4年連続で1兆㌦を突破する(11年10月〜12年9月で1兆790億㌦)。国債の再格下げと暴落は不可避だ。住宅不況による金融機関の不良債権の顕在化、地方銀行倒産、家計の過剰債務問題もこれから本格的に爆発する。8%超の失業率も高止まりのまま。基底にある過剰資本・過剰生産力状態は何ら解消していない。
 この追い詰められた状態の中での1月オバマ一般教書演説は、一方で「格差問題の解決」をペテン的に掲げながら、他方で製造業への優遇税制によってブルジョアジーを救済し、他国市場に殴り込みをかける「輸出促進政策」で生き残ろうというものだ。しかもそれは、中国スターリン主義に対する戦争政策とセットになっている。

 バブル崩壊が中国スタ直撃

 欧米への大恐慌の直撃で深刻な危機にあるのが中国スターリン主義だ。昨秋以来の不動産バブル崩壊と欧州危機が連動し、輸出急減とGDP成長率減退を生み出している。鉄鋼、自動車、電機など製造業での過剰設備は深刻だ。中国政府は「外需の明らかな後退の影響で輸出困難となり、中国経済は下振れリスクに直面している」(財政相・謝旭人)と危機感をあらわにしている。
 韓国の1月の貿易収支は2年ぶりの赤字(約1490億円)となり、欧州向け輸出は前年同月比44・8%減だ。「欧州景気の回復は見通せず、新興国経済も一時の勢いはない。世界経済の需要が減退し、狭まるパイの奪い合いが激しくなる」(韓国自動車産業首脳、2月2日付産経新聞)。さらにインドも、欧州向け輸出の減退で、11年の実質経済成長率見通しを7・6%から7・0%へ下方修正した。世界経済のバブル的延命を支えてきた中国を始め新興国経済の瓦解(がかい)は、まさに「世界経済史上最大の崩壊劇」となる。


視覚失認apperceptiva

 国債大暴落におびえる日帝

 帝国主義の最弱の環である日帝の危機は一層深刻化している。一つに、貿易赤字化=経常赤字化は不可避で、国家財政破綻と一体で国債暴落を引き起こそうとしている。
 昨年、日本は30年ぶりの貿易赤字(約2兆5000億円)となった。その主因は、電機と自動車という基幹産業の衰退にある。12年3月期の業績予想でパナソニック(赤字7800億円、国内製造業として過去最大)、ソニー(2200億円)、シャープ(2900億円)で赤字合計が1兆2900億円となった。リーマン後の09年3月期赤字の2倍以上だ。昨年の輸出額は、自動車で10・6%減、半導体電子部品で14・2%減という壊滅的状態にある。
 貿易赤字化と経常赤字化は、日本国債の買い手を喪失させる。金融機関として最大の日本国債(約42兆円)を保持している三菱東京UFJ銀行は、暴落に備えて「危機管理計画」を初めて作成した(2月2日付朝日新聞)。日帝も、財政破綻と国債暴落の危機にうち震えているのだ。
 二つに、昨秋TPP(環太平洋経済連携協定)に参加せざるをえなくなったように、米帝とのアジアでの争闘戦で敗勢に追い込まれている。
 三つに、福島第一原発事故の収束不可能化と全原発停止の現実性こそ、ボロボロの日帝の脱落状態を象徴している。
 四つに、1月24日の野田施政方針演説と日本経団連・経労委報告だ。野田演説は、原発再稼働、消費大増税と社会保障解体、復興特区・道州制、公務員大首切りと賃下げ、TPP、改憲と沖縄新基地建設をすべて貫徹すると宣言している。その核心は、国鉄闘争破壊と労働組合解体、民営化・外注化・非正規職化攻撃にある。「経労委報告」とも一体だ。

 革命的内乱が全世界に拡大

 大恐慌は革命情勢を生み出す。昨年2月エジプト革命のうねりは世界へ拡大し、燃え広がっている。アメリカの「99%の占拠運動」は米帝打倒の展望を照らし出し、ヨーロッパでの決起が2月4日のロシアでのプーチン打倒12万人大デモへ発展している。シリアでも、独裁体制打倒の実力闘争が継続している。さらに、中国スターリン主義足下の内乱的闘いは、労働者が中心となって「スターリン主義打倒・第2革命」を目指す歴史的決起だ。世界は革命情勢のただ中にある。


 「戦争と大失業」への怒り

 今回の大恐慌は、1974〜75年世界恐慌で帝国主義の過剰資本・過剰生産力状態が露呈して以来の全矛盾が、新自由主義の破産として爆発した歴史的大恐慌だ。
 新自由主義は「戦争と大失業」攻撃を激化させた。その破壊性・凶暴性の本質は、ひたすら貪欲に利潤を追求し、民営化・非正規職化で労働者の賃金を極限的に押し下げ、労働者の生活を破壊し、労働組合と労働者的団結(人間的共同性)を解体する巨大な反革命である。侵略戦争は、帝国主義の市場獲得戦の手段であるとともに、全世界的な労働者民衆の反乱をたたきつぶすために遂行されてきた。究極の「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」が新自由主義だ。その破産の上になお、支配階級は「ショック・ドクトリン」さながらに「戦争と大失業」を推し進めようとしている。
 大失業が労働者民衆をもはや生活できない状況にまでたたき落としている。昨年12月のユーロ圏全体の失業率は10・4%でユーロ導入以来の最高水準。スペインは22・9%、ポルトガルが13・6%、ギリシャでは若者の半数に職がない。アメリカは8・5%、フランスでも9・7%と失業率は高止まりしたままだ。これに加え、徹底した民営化・外注化・非正規職化で「半失業」の無権利状態が拡大している。ブルジョアジーは「最大の恐慌対策」として意識的に大失業をつくり出し、労働者階級を貧困のどん底へと追いやっている。
 さらに、大恐慌は世界経済のブロック化を引き起こし、保護主義や為替戦争、市場分割戦を激化させる。オバマが昨年11月に「アメリカは太平洋国家だ」と宣言し、対中対峙・対決の「新安保戦略」へかじをきったことは重大だ。米帝は3・11で「トモダチ作戦」の名で戦争態勢に突入し、日帝との争闘戦に軍事面でも踏み込んだ。財政危機にあえぎながら、軍事予算はブッシュ政権時代を超えて拡大し続けていくことをオバマは言明した(1月5日防衛戦略見直しに関する大統領見解)。そして中国への恒常的な戦争体制構築に腐心し、「沖縄海兵隊4700人のグアムへの先行移転」計画を発表した。
 金正日の死を受けた朝鮮半島情勢は、この米中対決の一環にある。米帝は3月に過去最大規模の米韓合同軍事演習を予定して激しく戦争重圧をかけ、アジア再分割戦にうって出ている。野田政権はこれが対日争闘戦でもあることに圧倒されながらも、「武器輸出3原則」緩和から日米ガイドラインの再改定などの戦争国家化攻撃にのめり込んでいる。
 しかし、この「戦争と大失業」への怒りの中から革命が生み出される。朝鮮半島での戦争切迫情勢は、逆に南北分断支配をうち破る朝鮮人民の革命的決起を不可避とする。米日帝国主義の対中国・対北朝鮮の戦争政策を粉砕し、東アジアを反帝・反スターリン主義世界革命の根拠地としよう。


 核廃絶・原発廃炉へ闘おう

 当面する最大の決戦として、3・11福島大集会の大成功をかちとろう。
 一つに、「再稼働阻止−全原発廃炉」の正念場だ。野田政権は全原発停止の現実性におびえ、関西電力大飯原発3、4号機の4月再稼働を狙っている。しかし、原発こそ「地上の原爆」であり、核武装政策だ。野田は施政方針演説で原発政策をいみじくも「安全保障」と表現し、プルトニウム製造のための核燃料サイクル再開を執拗(しつよう)に策動している。「核・原発・放射能と人類は相いれない!」——ヒロシマ、ナガサキ、ビキニの闘いと連帯し、福島から核廃絶の宣言を全世界に発しよう。
 二つに、政府・東電の責任居直りを絶対に許すな。野田は昨年12月の「収束宣言」に続き、1月26日には除染「作業工程表」を発表し、福島県民を高線量汚染地域へ追い立てようとしている。それは、「安全」の虚構のもとでの再稼働攻撃だ。被曝労働や除染ビジネスも含め、これほど「人民の命の切り捨て−資本の利益を最優先」の本性が暴かれている時はない。福島県民の生活とふるさとを奪い、命まで奪う真犯人は誰か! 国家権力−資本−御用組合の責任を徹底追及する3・11としよう。
 三つに、原発と新自由主義への怒りを一つにし、労働組合の大結集をつくり出そう。全原発廃絶の力は労働者の闘いの中にある。昨年9月の明治公園6万人結集がそれを示した。階級的労働運動の力で3・11を大爆発させ、再稼働を阻止しよう。3・11フクシマは、歴史を決する大決戦だ。
 最後に、3・11大結集運動のただ中で、21世紀革命を切り開く革命的労働者党を建設しよう。マルクス主義の復権と階級的指導部建設で、2012年決戦をプロレタリア革命勝利に向けての偉大な進撃の年としよう。



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