【ポイント】
■1.力が欲しければ力のある場所に行くあなたがもしマッキンゼーの社員なら、電話すれぱ、向こうの幹部が応対してくれるでしょう。一方、「こちらは(名もなき)フレッド・コンサルティング事務所ですが…」と言って電話したら、目的のCEOに取り次いでもらうのは、はるかに難しいでしょう。われわれは電話をかけるたびに、自分の勤め先を告げるたびに、勤め先の信用をそっくり拝借しているのです。(中略)
影響力を身につけたければ、正しい企業を選ぶことが不可欠です。ビジネスパーソンとしての信望や影響力を得るには、大手の一流企業を選ぶのが早道です。
■2.アドバイスを求める
社内でも、� �いていの上級幹部は持てる知恵を喜んでまわりに分かち与えます。与えても自分はほとんど損をしない上、与えることで、尊敬を集める博識な重要人物という自己イメージが強化されるからです。アドバイスを求めることは、管理職の虚栄心をさりげなく利用することにほかなりません。しかも、大胆にもこちらからアドバイスを提供するのと比べ、生産的な会話につながりやすいのです。
■3.反論するよう仕向ける
そう聞くと奇妙な感じがするでしょうが、アドバイスを求めるのと同じような効果があります。相手はあなたに反論することで、自分の知恵や知識経験や優位を披露できるからです。ここで肝心なのは、もともと自分でもいいとは思っていない案に相手が反論するよう仕向けることです� �そうすれば向こうは、あなたが主張したかったことをあなたのかわりに熱心に主張してくれるでしょう。
■4.公の場で認める
私がしなければならない場合、私は言葉を使用します。
膠着状態になったところでフランシスはようやく口を開き、これまでの議論を要約してみましょうかと申し出ます。要約する過程で、テーブルを囲んだ各人のすばらしい洞察や提案を抜かりなく挙げていきます。(中略)
フランシスが要約するにつれて、おのおのが誇らしげに胸を張ります。たったいま、自分の提案や洞察が公の場で認められたからです。フランシスが要約を終える頃には、全員が彼の要約を100%支持します。誰ひとり自分たちの発言内容にけちをつけようとはしません。もちろん、フランシスの要約内容は取捨選択したもので、偶然にも彼が会議の初めから目指していた結論とぴったり一致しています。しか� �フランシスは、わざわざ自分の意見を主張する必要がありません。全員の貢献を公の場で認めてやることで、自分の案に対する一同のコミットメントを確保したからです。
■5.あえてゆっくり話す
話すときはゆっくり、目的意識をもって話すことです。チャーチル、ケネディ大統領、マンデラといった名演説家を研究してみると、たいていの人よりはるかにゆっくりしゃべっているそうです。普通の人が一分間に120〜150語しゃべるとすれば、彼らは110語ぐらいです。マーティン・ルーサー・キング牧師は、かの有名な「私には夢がある」演説の際、最初の一分間に88語しか話していません。
■6.採用に関与した秘書が着目した「5つのE」
●エネルギー(Energy)
●興奮(Excitement)
●熱意(Enthusiasm)
●知識(Expertise)
わが社についてどういう知識をもっているか、ということです。何ひとつ知らない者もいた反面、歩いている途中でさりげなく秘書に鋭い質問をいくつかして、実情を聞き出そうとする者もいました。●関心(Engagement)
道すがら秘書と社交的な会話をかわし、彼女を人間として扱う候補者もいれば、まるで秘書がそこにいないかのようにふるまい、どうでもいい存在とみなす者もいました。
■7.信頼されるパートナーになるには?(抜粋)
●相手の話を聞く。
アセンドプログラムは何ですか?
相手に自慢させてやりましよう。手柄話や苦労話や、いま抱えている問題の話をさせておきましよう。なにも相手と張りあう必要はありません。相手のおかれた状況を把握し、親近感を生み出し、理解を示すことです。
●頭のいい質問をする。
上手な質問をすれば、あなたの知識を披露できるだけでなく、さらなる打ち明け話を引き出せます。
●ある程度意見を言う。
相手の状況を把握できたら、相手の参考になるようなアイディアを出してもいいでしよう。単なる自慢話ではダメです。共通の関心分野、それも重要分野に絞って意見を述ぺます。張りあうのではなく協力することで、この人は信用できると思わせるのです。
【感想】
◆今回、出来る限り広範囲から引用部分を選ぼうと思ったのですが、前の方から「これは外せない」というポイントを選んだところ、最初は第4章で終わってしまいました。さすがに「これではいかん」と選び直したのが上記の7つ。
といっても、やはりほとんどが前半部分であり、特に第3章からは3つ選んでいます……って結局かなり偏っていますね。
それでも、その第3章からは「大ネタ」が割愛されており、� �れは「コミットメントは公の場で、対立は1対1の場で」というもの。
いわく「会議は、1対1の席で到達した決定を公の場で確認するためにのみ開くべき」なのだとか。
まるで「根回し」じゃないか、と思ったらホントにその指摘があり、実は著者は日本でも働いていたことがあるのだそう。
このやり方だと、なかなか決定までには至らないものの、いったん決定されると実施はスムーズに行われるのに対し、米国流のやり方は、決定は早い反面、その決定に反対する陣営の妨害が激しく、結局「日本流」に後れを取ったそうなので、「根回し」も意外と捨てたものじゃないのだな、と。
◆また、割愛した部分は他にもたくさんあり、ここで追加しているとキリがないのですが、図や表がないと分かりにくいので、泣 く泣くカットした点がいくつかありまして。
その中の1つが「影響力ネットワーク」。
我々は全く宿題をしなかった場合はどうすればよい失われるでしょうか?
これは、縦軸に「信頼度」横軸に「力」を置いた2軸のマトリクスであり、ここに自分と関係のある人物をポジショニングしていくと、自分のネットワークの現状が分かるという仕組みです。
それを見ると、今の自分のポジションがどの程度強固なのか、もっと強化すべきはその部分なのかが分かるのだそう(詳細は本書を)。
◆もう1つ、図がどうしても必要だったのが「スタイルコンパス」というタイプ判断。
これは、任意の相手の特徴的な態度・行動を4つだけ選び、それぞれの対極を取った8軸(というんですかね?)の図で視覚化するもの。
同じ軸内容で作成した自分のものと重ね合わせると、お� �いの強みを生かす方法が見えてきます。
言葉だとどうしても分かりにくいので、ここだけは画像を。
もちろん態度・行動の軸は他にもいくつもあるので、これまた気になる方は、本書にてご確認を。
◆なお、上記ポイントでは抜き出していないものの、本書は極めて真面目な内容であるにもかかわらず、あちらこちらでユーモアな表現が取られています。
それは比喩だったり、ジョークだったり……。
たまたまこの著者だけなのかもしれませんが、英国流のジョークなのかな、と思ってみたり。
いずれにせよ、本書を読めば、今以上の「影響力」を身に付けるためには「何をすべきなのか」がきっと分かるハズ。
全部で60以上のTIPSがここに!
第1部 影響力を身につける方法―影響力と力を備えた人物になるには
第1章 まず、影響力の基盤を構築する
第2章 影響力のネットワークをつくる
第3章 コミットメント構築プロセス第2部 影響力のささやき―役にふさわしい態度・行動と外見
第4章 役にふさわしい態度・行動
第5章 アクティブ・リスニング(積極的に聞く)
第6章 ギブ・トウー・ティク
第3部 ネットワークを張りめぐらす―コミットメントと忠誠心を確立する
第7章 パートナーシップの法則
第8章 信頼関係を築く
第9章 正しいメロデイーを奏でる
第4部 チャンスをつかむ―正念場を最大限に利用する
第10章 闘いを選ぶ
第11章 ウイン・ウイン
第12章 説得的対話
【関連記事】
【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件(2009年06月10日)
【魅力的!?】『人を魅了する 一流の職業人であるための技術』ガイ・カワサキ(2012年03月05日)
あの芥川賞作家もびっくり 驚愕の『論理で人をだます法』(2012年02月14日)
【5つのタイプ】『「困った人」の説得術』出口知史,伊東 明(2011年08月11日)
【出世の心得?】『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉』が予想通り濃厚だった件(2011年05月24日)
【編集後記】
◆同じ版元さんの、この本にも注目!下の本は、今日ご紹介した本の著者であるジョー・オーエン氏です。
この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
0 件のコメント:
コメントを投稿